何度目かのチベットの旅で、ようやく聖地ラサを訪れることができた。
はるか遠くにある。
心のどこかにいつもあった。
古より伝わる仏教の教え、最後の秘密の教えが今も息づいている。
チベットの大地に足を踏み入れた瞬間、電流が全身を駆け抜けた。
大きな光のベールに包まれたように感じた。
到着後、すぐにある寺院に向かった。
堂内はとても薄暗く、線香とバターランプの独特な匂いが入り交じっていた。
うっすらと浮かび上がる仏像や、壁一面に描かれた壁画。
日常と非日常を区切っているまるでカーテンのような境界線があるように感じた。
ラマ僧の読経のマントラが私の体の芯まで響き渡ってきた。
多くのラマ僧が目を閉じ、少し体を前後に揺らすようにして瞑想している様子に、
私も彼らと同じように目を閉じた。
とても穏やかで静かな時間が過ぎた。
それは、日常の喧騒を忘れて自分と向き合う貴重な時間となった。
普段は気づかない本来の自分の心に触れることで、
周りのいろいろなものがまた違ったように見えはじめる。
そして、人生がとても色鮮やかに感じ、魂が成長することを知った。
この巡礼で学んだことを胸に、謙虚で思いやりのある心を常に持ち続けたい、そう心から願う。
いつか再びチベットを訪れたら、
本来の自分の心にまた触れ、
安らぎと心の平和を祈りたい。
この星でともに暮らす生きとし生けるものすべてのために。
合掌 天宮光啓